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1999年10月26日から2004年10月12日まで続けたマーケティング的コラムをブログとして復活させました。 大昔に会社の部門報に書いた文章も少々。
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1.道険しい吉野家


先々週取り上げた吉野家の「牛鉄なべ定食」が、いよいよ発表されました。
日経には、こんな感じで取り上げられています。

全国15店の中の1店だったんですね、我が家の近くの店は。
「調理方法などを改良して、7月を目処に導入店舗を拡大」
「年内に全店へ導入」
とあります。

不安ですねぇ。
「いまのところ消費者の反応は良好という」と書いた記者の気持ち、どう思います?
ちょっと懐疑的なニオイがしますよね。

味は、たしかに私が書いたように、「ちょっと濃すぎ」という意見が多いようです。
うちの近所の「まちBBS」で、実際に食べた人の意見も、「あれじゃ大戸屋だろ」という意見がありました。
さらに、私と同じように、「提供時間が遅すぎ」というのも…。

もっとさらに、「肉が少なすぎ」「豆腐もケチくさい」「うどんも少ない」というのもあって、すべてにおいて「中途半端」という印象が、大半を占めている様子。
苦労しそうですね、吉野家も。

さっき通りがかった事務所近くの「松屋」では、「プルコギ牛焼肉定食」が登場。
その少し先にある「なか卯」では、「ガーリック鶏塩丼」が登場。

「和風FFチェーン」だったのが、いつの間にか、アジア、欧風の香りが漂うようになってきました。
たしかに、今は、どこの街に行っても、定住系外国人がいることが、全然珍しくない。
そんな時代に、「和風」にこだわる理由も、希薄化しているのでしょう。
いや、反対に、今時「和風」にこだわるのは、外国人旅行客くらいかも知れませんな。
我が家の、昨日の昼飯も、事実「イタリアン」だったんだし。

仮に吉野家が、「プルコギ」や「ガーリック」なんてメニューを出したらどうなるのか。
ビミョーですねぇ。
マニアから、猛反発を喰いそうな気もします。
「何をやっているんだ!」みたいな。
「コカコーラ」が、勝手に味を変えてしまったのと、同じくらいの騒動になるかも知れません。

そう考えると、「牛鉄なべ定食」というのは、吉野家が許されるギリギリのメニューなのではないでしょうか。
「和」の雰囲気を残しながらのメニューバリエーション、実は、そう多くなさそうですもんね。

もっとも「牛丼」、遡って「すき焼き」というもの自体、欧米の牛肉文化を、日本流にアレンジしたものなんですけどね。
その意味では、「和にこだわらない選択」をしたチェーンの方が、正解なのかも知れません。

BSEに端を発した吉野家の迷走、そして苦難は、まだまだ続きそうです。
「3年間売上ゼロでも、従業員に給料を支払える」とのことですが、いつまで持ちこたえられるか。
そして、他のチェーンを圧倒するメニューを、はたして本当に提案できるのか。
個人的には応援したい気持ちを持ちつつ、その反面どんどん冷静になってきております。



2.躾の崩壊


先週末は、小学校の運動会で、ギリギリ雨にも降られることなく、無事終了。
で、夕飯は、近所の「しゃぶしゃぶ温野菜」へ行きました。
ずーっと、「しゃぶしゃぶ牛角」かと思っていたら、実は店名は違っていました。
「しゃぶしゃぶ温野菜」です。

なぜここにしたかというと、もちろんメチャ寒かったから。
マジで寒かったですもんねぇ、土曜日は。
特に私は、じーっと一人で観戦していたので、寒いこと寒いこと。
最初、半袖シャツにブルゾンで行ったら、耐えきれなくなって、着替えに一度帰ったくらい。

理由のもう一つは、ようやく「お得意さんFAX」をもらったからです。
以前から、何度も何度も利用して、その度ごとに「アンケート」に記入して、「会員登録してください」みたいなのにも、毎回書いてきた。
でも、なかなか来なかったんですね。
最初に書いてから、2年くらい経っている気がします。

それが、よ~うやく来た。
もちろん、FAXを持っていけば、「ファーストドリンク無料」か、「500円引き」か、「メニュー1品サービス」か、という特典付きです。

酒を飲む者にしてみれば、こんな特典、「ファーストドリンク無料」に決まってます。
どう考えても、これが一番割安でしょう。
4人で行きましたしね。

で、まあ我が家の夕餉は、適当に和気あいあいとやっていたんですが、ふと気付くと、後ろの席に、母子3人連れがいました。
私が、酒を注文しようと、店員の方を振り返ってみると、2人座っていた男の子の一人は、こんな感じでした。
ま、私の目線の怒り具合から分かる通り、「コミックス」を読んでいます。

今年の1月に、軽井沢にスキーに行ったとき、「バイキングディナー」の大広間の1テーブルで、子供にゲームボーイをやらせながら食事をさせている家族がいました。
一体どうなっちゃってるんでしょうね、日本の親は。

先週取り上げた「五味八珍」について、あちこちから反響をいただきました。
あの「こだわり」は、どうやら某コンサルの入れ知恵のようなんですけどね。
でも、実行していることは素晴らしいですよね。
「お母さんへ」とかね。
やっぱり嬉しいじゃないですか。

なのに、こういうバカ親もいる。
正直言って、がっかりですよねぇ。
古びたラーメン屋じゃあるまいし。
今時、漫画なんて読みながら、メシを食べますかね。
しかも家族での夕餉に。

子供の気持ちからすれば、「別に食べたくない」のかな。
それとも、「腹は減っているけど、漫画も読みたい(ゲームもやりたい)」のかな。
どっちかによって、私の怒りの方向性も、全然変わってくるんですけどね。

「別に食べたくない」んだったら、食べさせなければよろしい。
そうまでして、「家族全員集まる食卓」を演出する必要はないでしょう。
これだけ、家族の生活時間がバラバラになってきて、お腹の空く時間も、それは当然バラバラになりますよ。
食べたいのに食べさせなかったら、虐待につながるけれども、食べたくないから食べさせなかったのなら、別に問題ないでしょう。

問題は、「食べたいけれども、漫画も読みたい」です。
どうして親が、こういう子供の態度を諫めることができないのでしょうか。
私としては、「マナーも守れないんだったら、1食くらい抜いてもヨロシ」です。
それが子供に対する「躾」だと思っていますから。

しかも、家庭でならまだしも、「外食」で、こんな子供の行動を容認するバカ親。
そりゃ、渋谷で小学生が、大人にパンツ見せて、金儲けする時代になるわけですな。

昔は、「お米という字は~」なんて、食のマナー以前に、一粒残さず食べることが礼儀とされてきた。
それが、今は、ごはんを食べられることの有り難み以前の問題になってきているんですもんね。
日本の食卓が崩壊しているのは、親がますますバカになってきていていることと同義です。
悪いのは親です。

ちなみに、軽井沢のゲームボーイ親は、ごくフツーのサラリーマンっぽいオヤジ。
しゃぶしゃぶ温野菜の漫画親は、母一人で、身なりは小綺麗でした。
普通に見えるバカ親たち。
日本をどんどんバカにしているのは、フツーの顔をしている人達なのかも知れません。
タチが悪いです。

ま、マーケティング感覚に優れた方なら、「漫画ファミレスなんてどう?」(漫ファミ?)なんて発想を持たれたら、それはそれで素晴らしいんでしょうけどね。
でも、それはやっちゃイカンでしょうなぁ。

だって、かくいう私も、そこに「北斗の拳全巻」なんて置いてあったら、読まずに耐えきれるか自信ないですもん。(^▽^;



3.情けは誰のため?


また浜松の話です。

大学に行くためには、浜松駅から、学バスを延々40分、ちょっと道が混んでいると、約1時間揺られなければならないんです。
往路は、まだいいとしても(学生を待たせればいいんだしね)、復路は、帰りの新幹線の時間があるから、気になってしょうがない。
「こりゃもうクルマを買うしかないな~」と思っていました。

クルマは、すぐにでも買える。
中古車を買うくらいのお金はありますから。
ただ、クルマを置いておく「駐車場」がない。
せっかく浜松駅まで到着して、そこから何10分も歩いて、駐車場に辿り着いても意味がない。
せめて、駅から徒歩10分圏内くらいに借りないと…。

そうすると、条件がドンドン厳しくなってくるのですな。
ネットで調べると、浜松とはいえ、駅のすぐ近くだと、2万円を突破します。
それに、そもそも「空き」があるのか…。

これはもう、駅前の不動産屋にローラーをかけるしかないなと思って、あちこち駆けめぐりました。
1軒、2軒まわっても、どこも「駅から近いところは空いてないよ」と素っ気ない返事ばかり。

それでも、そう簡単にあきらめるわけにもいかず、ちょっと小綺麗な、新しめの不動産屋に入りました。
「駐車場借りられますか?」と聞くと、「うちでは扱ってないんですよ」と、年輩のおばちゃんが返事。
「あぁ、そうですか…」と出ていこうとすると、そのおばちゃんがカウンターから出てきて、「あ、ちょっと待って」と。

店を出た私とともに、一緒に店の前で、「こっちを真っ直ぐ行ったところに、タワーの駐車場があって、そこをウチも借りているんだけど、たしか空きがあったハズよ」とアドバイスしてくれました。
「詳しいことは、そこの管理人室で聞いてみてね」と。

「ありがとうございますっ」ですよ。<(_ _)>
もうひたすら平身低頭で、お礼を述べて、その駐車場に向かいました。

行ってみて、駐車場の管理人のおっちゃんに聞いてみると、たしかに2台分空いている。
でも、そこはヨーカ堂の近くのため、1ヶ月単位の賃貸よりも、時間貸しで稼ぎたい様子。
あーだこーだ言って、契約をあきらめさせようとするおっちゃんを、グイグイ押しまくって、契約料やら、すべて即金で振り込むからという条件で、何とかOKをもらうことができました。

いや、クルマは簡単に手に入っても、駐車場が無ければねぇ。
「土地」を持っている強みを、まざまざと感じました。
で、そこからは、駐車場を正式契約して、あとは中古車屋でクルマを買って、あれこれ手続きして現在に至るわけです。

話の核心は、もちろん「不動産屋のおばちゃんの対応」です。
まあ、普通であれば、自社で駐車場は扱っていないんだから、「やってないよ、じゃ~ね~」で終わり。
でも、そこを、「自分の商売に全くならない」にも関わらず、「空き情報」を教えてくれた。

その後、クルマの購入手続きもすべて終わって、無事に駐車場を使い始めた頃に、手土産を持って、その不動産屋に行ったんですよ。
「あの…、1ヶ月くらい前に通りがかって、駐車場のことを…」と切り出したら、「あらーっ」。
どうやら、憶えていてくれたようです。

それどころか、私が店に来た少し後に、「私も気になったんで、あの駐車場に聞いてみたら、『最近は月貸しはしていない』って言うから、悪いことしちゃったなって思ってたのよ~」と。
何とまあ、気にかけてくれていて、さらに問い合わせまでしてくれていた。

もう感激ですよ、私としては。
だって、全くカネになっていないんですよ。
二言目には、カネカネカネの、今の日本で、まだこんなことがあるんですなぁ…。(T-T)

私も、またまた平身低頭で、持ってきた亀屋万年堂の「ナボナ」を、ムリに押しつけてきました。
(もちろん、そういう方ですから、最初は猛烈に拒否されました…)

こういう「商売にはならないこと」でも、ちょっとした親切心から、対応してくれると、「私も何かお返ししなければ…」と思います。
まあ、話の勢い半分で、私の素性を明かして、「学生が家を探していたら、絶対こちらを紹介しますよ」と言ったりしてね。
まあ、本当に勢いだけで言ってますけど。
でも、私も本気で紹介しますよ、そういう学生がいたら。
だって、それが本当に私が唯一できるお礼ですもん。

とはいえ、あのおばちゃんも、私から紹介してもらおうなんて、あまり思っていないでしょう。
私も、何人学生を送り込めるか、そんなこと保証はできません。
なら、どうしたらいいのか。

私が本当にしなければいけないことは、私が、仮に同じような立場の人に出くわした時に、あのおばちゃんと同じようなことをすることでしょう。
それしかないと思います。

私とおばちゃんとの間で、「幸せ」をやり取りしたって、それはピンポンみたいに、行ったり来たりしているだけで、全然拡がりがない。
でも、私がもらった幸せな気持ちを、今度は誰かに渡して、その人がまた誰かに渡していったら…。
これこそが「幸せの連鎖」ですよね。
「バカの連鎖」ではなくてね。

こういうことが、マーケティングの原点だと思うんです。
こういうことを理解できない人は、いくらマーケティングを勉強しても、身にならないでしょう。
そして、こういうことが、すんなり分かる人とは、結局「親の躾」を、きっちり受けている人じゃないかと思っています。

今週の日経ビジネスでは、日本電産の企業再建のキーワードで、6Sというのがあって、その「S」の一つが「しつけ」。
そういえば、この前、どこかの工事現場でも見かけました、この6S。
工事現場を覆う白い幕に、思いっきりデカイ文字で、「しつけ」って書いてありました。
あれは、西新橋のビル工事現場でした。

バカな親を嘆いて、世を憂う半面、たかが「躾」をきちんと理解していれば、たくさんお金を稼ぐことができるんだから、もしかしてマーケティングは、どんどんラクになっているのかしらんなんて思ったり。
いや、こんなことではいけないんですけどね。

で、「幸せの連鎖」も大切ですけど、やっぱりもう少し、おばちゃんにも感謝の意を表しなければいけませんね。
ということで、せめて幾ばくかの方にお読みいただける、このコラム上で、その不動産屋のことをお知らせしておきましょう。
ちょっと珍しい名前の不動産屋です。

不動産のじゅじゅ

皆さん、浜松での物件探しでは、是非ご利用下さいませ…。


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