1999年10月26日から2004年10月12日まで続けたマーケティング的コラムをブログとして復活させました。
大昔に会社の部門報に書いた文章も少々。
例の「青色発光ダイオード」。
私が「たいした発明じゃない」なんて書いて以来、当コラムを読んでいただいている方にお会いすると、「富澤さん、あれは、実は凄い発明なんですよ」なんて、諭されること度々。
分かっておりますって、それくらい。(^▽^;
単に、「赤+緑+青=白」の問題だけではなく、発明から製品化への期間の短さ、つまり投資から回収へ至る期間の短さも、画期的であることですね。
で、コラムの173号(04.2.3発光、じゃなくて発行)の最後に、
「ところで、「彼」に関しての、日亜化学の同僚達の意見を聞きたいところです。
それが全然出てこないのは、会社が箝口令をしいているからなのでしょうか。
同僚達は、どう思っているのでしょうか、200億円、そして600億円を、
会社から持っていこうとする元同僚を。」
と書きました。
たしかに、これだけの問題なのに、マスコミに登場するのは、「中村側の意見」ばかり。
「どうして反論しないんだろう?」と思っていたら、ようやく登場しました反論本が、
「青色発光ダイオード 日亜化学と若い技術者たちが創った」(テーミス編集部)
中村氏の本は、すでにいくつか出ていますが、最近出たばかりの
「負けてたまるか!」(朝日新聞社)
が代表作となるのでしょうか。
私も、それまで出ていた「中村本」を読まなければと思っていたのですが、何となく棚上げしていました。
それというのも、読むと、中村説に説得されてしまいそうで…。
でも、「日亜化学本」が出た今、読むしかないだろうと思って、買いました。
前記の中村、日亜、両方を。
両方読み終わっての感想は、「正直よく分からん」というところです。
---
最初、中村本から読んでいきました。
こちらには、週刊朝日に連載されていたものをまとめたためか、彼の「子育て観」も、やたらページを割いています。
「肝心」なところは、全体の半分以下か。
読んでみると、
私が「たいした発明じゃない」なんて書いて以来、当コラムを読んでいただいている方にお会いすると、「富澤さん、あれは、実は凄い発明なんですよ」なんて、諭されること度々。
分かっておりますって、それくらい。(^▽^;
単に、「赤+緑+青=白」の問題だけではなく、発明から製品化への期間の短さ、つまり投資から回収へ至る期間の短さも、画期的であることですね。
で、コラムの173号(04.2.3発光、じゃなくて発行)の最後に、
「ところで、「彼」に関しての、日亜化学の同僚達の意見を聞きたいところです。
それが全然出てこないのは、会社が箝口令をしいているからなのでしょうか。
同僚達は、どう思っているのでしょうか、200億円、そして600億円を、
会社から持っていこうとする元同僚を。」
と書きました。
たしかに、これだけの問題なのに、マスコミに登場するのは、「中村側の意見」ばかり。
「どうして反論しないんだろう?」と思っていたら、ようやく登場しました反論本が、
「青色発光ダイオード 日亜化学と若い技術者たちが創った」(テーミス編集部)
中村氏の本は、すでにいくつか出ていますが、最近出たばかりの
「負けてたまるか!」(朝日新聞社)
が代表作となるのでしょうか。
私も、それまで出ていた「中村本」を読まなければと思っていたのですが、何となく棚上げしていました。
それというのも、読むと、中村説に説得されてしまいそうで…。
でも、「日亜化学本」が出た今、読むしかないだろうと思って、買いました。
前記の中村、日亜、両方を。
両方読み終わっての感想は、「正直よく分からん」というところです。
---
最初、中村本から読んでいきました。
こちらには、週刊朝日に連載されていたものをまとめたためか、彼の「子育て観」も、やたらページを割いています。
「肝心」なところは、全体の半分以下か。
読んでみると、
「日亜化学では論文・学会等の発表は禁止されていた」などなど、「これじゃ、『200億円はオレのものだ』というのも、うなづけるな」、そう思いました。
「青色の開発を当時の社長に直談判した」
「全部一人でやらざるを得なかった」
「装置の設定も全部一人でやった」
「現社長からは度々開発の中止命令があった」
「発明後は、閑職に追いやられ、ハンコを押すだけの日々だった」
私が恐れていた通り、中村氏にすっかり説得されてしまったわけです。(^-^;)
「コラムでお詫びをせねばならないかな…」、いや真面目に、そこまで思いました。
そこで、次の「日亜本」を読みました。
「テーミス編集部編」というのが、ちょっと気になりますが。
---
こちらを読むと、日亜側が、これまで反論してこなかったのは、現社長の「彼(中村氏)と同じ土俵に乗りたくない」ということからと書いてある。
「彼と同じ土俵」とは、つまり「二言目にはカネ、カネ、カネ」という意味だと理解しました。
日亜本には、中村氏の論調と、全く反対のことが書いてあります。
つまり、
「中村氏の『発明』は、開発過程の最初の一部分」と、「真実はどこにあるのか」と叫びたいくらい、全然違うことが書いてある。
「その後、多数の研究者が携わらなければ、青色はできなかった」
「中村氏は、その後の過程では、開発に否定的な意見も多数言っていた」
「彼は閑職どころか、年間150日の出張を繰り返し、スター化学者となっていた」
「部下の研究論文を一人占めしていた」
「真実」は、これからの裁判過程で明らかになるのでしょう。
ただ、これまで、私が勝手に抱いていた中村氏のイメージが、少し間違っていたようにも思います。
「小企業の貧弱な研究環境の下で、従業員発明者が個人的能力と独創的な発想により、競業他社をはじめとする世界中の研究機関に先んじて、産業界待望の世界的発明をなしとげたという、職務発明としては全く稀有な事例である」
(判決文より、前記「日亜本」から転載)
こんな文章を読まされれば、中村氏が、「映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク博士」のような研究の仕方をしていたと思いがちです。
一人、部屋に籠もって、何やら訳の分からない装置と格闘している。
あちこちから、煙や蒸気が出ていたりして。
そうじゃなかったですか、文系の皆さん?(^▽^
でも、日亜化学は、「従業員300人を超す中堅企業であり、研究棟と名付けられた六階建ての建物の一、二階には高価な分析装置が並べられて」いるそうです(日亜本、P164より)。
巻末にある会社の写真を見ても、なるほど立派な建物です。
これ以外でも、「発明料」の2万円という金額は、かの島津製作所のノーベル田中さんは、「1万1千円」だったそうで、IBMでさえ「8万円」らしいとか…。
さらに、中村氏の、退職時の年収は2千万円で、同じ待遇(取締役待遇)の人より、上乗せされていたとか…。
---
今後、どちらが勝つのか、分かりません。
いや、どちらが勝とうが、負けようが、部外者はあまり関係ありません。
ただ、この件に関して、我々が学ぶべきことの一つは、「両者の意見をきっちりと理解する」ということ。
特に、「マスコミの論調が、一方向に偏っている時は疑え」ということです。
「マーケティング」の視点から考えて、「中村氏の論ばかり報道していたマスコミ」に、つい乗せられてしまうことの恐ろしさを感じます。
あまり良い例えではないかも知れませんが、マスコミは、松本サリン事件で犯した過ちと同じ事を、裏返したようなかたちで、また犯そうとしている気もします。
我々は、「マスコミの論調=大多数の国民の意見」と早合点せず、そういう時こそ、一段と冷静な目で情報を分析しなくてはならないと思います。
(もっとも日亜側が、何の発言もしてこなかったことにも、若干の責はありますが)
もう一つは、自分の成し遂げたことについて、もっと謙虚であるべきということもありましょうか。
以前仕事をさせていただいた方で、おそらく誰もが知っているくらいのヒット商品を作り上げた方、別々な会社のお二人に、「中村裁判」について聞いたことがあります。
「どう思いますか?」と。
お二人とも、「考えられないです」というものでした。
というのも、「成功」の陰には、多数の「失敗」の経験があるから。
一度や二度のミスにこだわることなく、チャンスを与えてくれた会社に対して、ちょっと「成功」したからといって、自惚れるわけにはいかないという意見です。
今出ている「日経トレンディ臨時増刊号」の編集後記「編集部から」に、面白いコメントがありました。
この号で、「この人が売っている」というタイトルで、「営業の達人」を取り上げています。
日本旅行のカリスマ添乗員、アオキインターナショナルのスーツ販売の達人、第一興商のカラオケ機器販売のスペシャリスト、洋菓子のヒロタの洋菓子販売の達人、等々。
この取材に対して、編集者は次のように語っています。
「取材前には、『これだけ輝かしい実績を持つ人なのだから、きっと自信たっぷりにノウハウを語ってくれるだろう』と思っていたが、返ってくるのは謙虚なコメントばかり。期待外れな感じがした一方、人柄ありきの営業なのだと痛感した。(以下略)」
(日経トレンディ2004臨時増刊号)
「マスコミ」のビジネスの現場に対する認識とは、この程度のものですよ。
「勝ち組」は、孫正義氏みたいな態度を取ると思っている。
みんな、楽天三木谷氏みたいな発言をすると勘違いしている。
ビジネスの世界で、全戦全勝の人なんて、おそらくいないはず。
みんな勝ち組である前、一度は「負け組」だったはずです。
それに、今の「勝ち」が、どれほど脆弱なものかも理解している。
だから、謙虚にならざるを得ない。
それに、自分一人の力でできることなんて、たかが知れていると、みんな思っている。
中村修二氏みたいに、「全部一人でやった」なんて豪語できる人は、それこそ「全く稀有な存在」でしょう。
---
もう一つ。
例の事件。
六本木ヒルズのオープンで、企業イメージを究極に高めた森ビル。
ともすれば「地上げ」という悪イメージが先行しがちな不動産開発を、地道な、それこそ牛歩とも思えるゆったりさで、一つ一つ信頼を勝ち取ってきました。
それが、こんなところに綻びがあるとは、誰が想像できたでしょうか。
去年の今頃は、開業間近に控え、ドキドキものだったはず。
そして、森ビルとしては、この後、別な場所での大型開発もあるのでしょうけど、おそらく六本木ヒルズを超える開発は考えられない。
おそらく、「森ビルの象徴」と考えていたはずでしょう。
事故後の対応は、問題なかった。
情報の開示や、謝罪の姿勢など、三菱自動車に比べれば、全然ましです。
ただ、その開示された情報が…。
道義的には、「なぜもっと早く対応しなかったんだ」「センサーの設定をなぜ甘くしたんだ」というのはもっともなこと。
糾弾されてしかるべきでしょう。
ただ、「ビジネス」を考えた場合、あなたが経営者だったら、センサーの設定をガチガチにできますか?
しかも、「また止まった」とクレームが出ている状況で。
航空機や列車など、安全に対する備えができていないことが、即、人の命に関わってくることが分かり易い事業であれば、誰でも判断できます。
でも、今回の場合、「ドア」です。
回転しますけど、所詮「ドア」です。
「もっと効率よくお客様を入れるように」
「お客様のご迷惑にならないように」
ビジネス優先に考えてしまうのも、いたしかたない気もします。
ただ、回転扉とは、よくよく見ると、ドアである以前に、ギロチン的刃物でもあったわけです。
森ビル関係者も、そこまでアタマが回らなかったか…。
---
私の住んでいるマンションは、真ん中に廊下がある、いわゆる振り分け型の3LDK。
南北に配置されているためか、南側の窓を開けた状態で、玄関を開けると、時々物凄い風が流れます。
リビングに通じるドアを、開けっ放しにしているからなんですね。
留め具に、留めっぱなしにしています。
最近はそのドアを「閉める」こともあります。
まあ、子供も大きくなってきて、騒音対策上ですけど。
そして、留め具をしていない状況で、先の状態、「南側の窓を開けて、ふと玄関を開けてしまう」と…。
「バターン!」
風の通り道で、風に乗ってしまうためか、ドアが物凄い勢いで閉まることがあります。
「これに指を挟んだら、間違いなく切断だな」と思うくらいの凄い音をたてて閉まります。
いや、私が指を挟むくらいはいいんですけど、そこに子供が偶然立っていたりしたら…。
うちの子供だったら、まだいい。
泣けばすみます。
でも、それがもし、偶然遊びに来ていた子供の友達だったりしたら…。
---
東京海上火災の名作CMに、ビリヤード台の上を、ビジネスマンが新聞を歩きながら読んでいるというのがありました。
ACCのCMの殿堂にも入っているCMです(1982年)。
あたりを、ビリヤードのボールがギュンギュン転がっている中、「偶然」にも当たらずにすむという設定。
で、「あなたの日常には、こんなに危険がひそんでいるんですよ」というコンセプトでした。
あれと同じようなことが、加速度的に進行しているのではないでしょうか。
そして、哀しいことに、誰かが犠牲にならないと、それに気づかない。
例えば、「配送トラック」の問題も同じです。
運送業界は、「時間厳守」が至上命題。
それを守れない会社は、クライアントから切り捨てられるだけ。
ところが、環境問題もあり、大型トラックには速度規制が、昨年より実施されている。
納期を守るためには、「法定速度厳守」なんて、誰も守っていないのが実情。
なのに、スピードの出しすぎはダメとくる。
これで、トラックの運転手の心中が、穏やかであるはずがない。
先日も、東名高速道路で、深夜、居眠り運転と思われるトラックに追突されて、前方の車に乗っていた何人かが亡くなるという悲惨な事故がありました。
六本木ヒルズで、小学校入学直前の子供が死ぬと大騒ぎするのに、あの事故では、たしか3人くらいの命も失っているのに、マスコミが騒がないのは、なぜ?
大人だから?
それとも、今さらニュース価値がないくらいアタリマエだから?
だったら、マズイですよ…。
視点を変えれば、コンビニ等の配送トラックが、路上駐車をしているのも問題でしょう。
コンビニは、当然の事ながら、立地のいいところに出店している。
交差点とか、それでなくとも、人・車ともに交通量の多いところ。
郊外型で、駐車場を大きくとれる店なら問題ないでしょうが、都心のコンビニでは、大半は店前に路上駐車。
これが危ないんですよね。
我が家近くでも、コンビニトラックが駐車しているために、人が歩道から車道にはみ出して歩くことになる。
その脇を、自動車がビューン。
車を運転している時でも、コンビニトラックの脇をすり抜けるのは、結構怖いです。
「これで、誰かを引っかけちゃっても、オレの責任かよ…」、そう思いながら運転してます。
我々消費者は、ジャストインタイムで、欲しい商品を買うことができるのなら、それは嬉しい。
でも、誰かの生命を脅かすようなことをしてまで、「それが欲しい」とは思いません。
もしそれでも欲しいという人がいるなら、それは消費者の「間接的恐喝」ともいえるのではないでしょうか。
いや、「不作為の恐喝」と言うべきか。
どうやら、日本中のビルから、回転扉は無くなりそうな勢いです。
でも、そこで終わらずに、あらゆる企業が、さまざまな視点から、「人の命とビジネス」を、本気で考え直す時期に来ている気がします。
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